続・高台の家


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2000年の完成から約20年を経た現在の姿

22年の時を経てふたたび……

私が22年前に設計し、1999年に竣工した住宅の改修工事をレポートしていきます。西宮市甲陽園目神山にあるこの家は、私にとって、とても思い入れのある仕事です。

内外ともに北欧デザインで統一され、これだけの年月を経た、自然素材を多用した住宅の改修の様子と、改修工事を終えた後の姿を見ていただき、これから家を建てる方、リノベーションする方にとって有意義なものにしていきたいと思います。

新築当時の姿は事例集に載せておりますので〈高台の家〉をご覧ください。


内装

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2階リビングから大阪湾をのぞむ

まずはリビングの様子から。28帖の広さに加え、眺望の得られる南側に向かって高くなっていく天井は最も高い部分で約3.8mにもなります。大阪湾を望むこの大開口からは、晴れている日には潜水艦まで見えるということです。

この度のリノベーションでは、一番利用頻度の高いテラスへの出入り口付近の床の無垢フローリングの傷みが激しかったので全面的に研磨処理を施すことで新築時同様の美しいかえでの木肌と木目を取り戻すことができました。ドイツ製の研磨機で一日ですべて終わらせてしまうというすばらしい技術です。おかげさまで北欧デザインらしい、木をいかした暖かみのあるデザインとしつつも洗練された空間がよみがえりました。

新築当初からある暖炉は、冬場はもちろん家族団らんのシンボルとなりますが、夏場には少し重たい印象になりがちなので現代的なデザインのものを採用しています。


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東側のハイサイドライトからは朝食時に陽光がふりそそぐ

テラス側から見返すと天井の板貼りがよく見えます。これだけ細い幅の板を丁寧に貼り詰めていくような設計は昨今ではめずらしいのではないでしょうか。職人さんのたいへんな労力を要します。天井の木は手で触れる場所ではないので汚れることがなく、22年経ったいまでもメンテナンスの必要がありません。

キッチンの上部のハイサイドライトからは朝食時に朝陽が差しこみます。さまざまな方向に窓を設けることで、自然を感じるシーンが変化に富んだものとなります。

独立柱は丸柱を採用しており、デザイン的な柔らかさはもちろんですが、人が動きまわる室内では角がない方が子供さんの安全面も含めて良いとの考えからです。

ソファの奥のカウンターに載せられた陶芸作品は施主の息子さんの作品です。


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大開口からのすばらしい眺め

大開口を斜めに横切る柱は構造体でこの部分にガラスがはめこまれています。構造強度とデザイン性を両立させた設計で、高台からの圧倒的な眺望をさらにダイナミックで力強いものとして演出してくれてもいます。

広々としたテラスの木製の横桟は上部にいくほど間隔を広くして貼っており少しでも高台の解放感を楽しんでいただくための工夫です。

キッチンは以前はドイツのポーゲンポール製を使用していましたが、今回のリノベーションではLIXILのものが採用されています。


無垢フローリングのビフォーアフター

改修前と後で比べてみるとあまりのちがいに驚きますね。ほぼ新築当時の美しいカエデの表情がよみがえりました。


外装

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東側全景

まずは奥様お気に入りのアングルで見てみましょう。すこし引いたところから眺めると伸びやかなデザインをより感じることができます。

植栽も手入れしたばかりでさっぱりしてますね。このエリアは風致地区なので敷地面積の一定面積以上を緑化する必要があります。このような都市計画の意味を理解し、しっかりと自宅の設計に反映させることを厭わない住民の方々のおかげで良好な住環境が醸成されていくのです。

家を建てたり買ったりという行為は、つまるところ「環境を買う」ということです。


外壁の相じゃくり仕上げの杉板と、船の甲板にも使われるアプローチデッキの床のイペ材は新たに木材保護着色塗料で仕上げています。長年風雨にさらされることになるので、しっかりとした耐候性の高い塗料を選択することが重要です。


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今回の工事では特に改修するところはありませんでしたが、クルマ好きのご夫婦のガレージも紹介します。

ポルシェとシボレーですね。2ドアクーペのスポーツカーとSUVという組み合わせは多くのご家庭で最適解になり得るのではないでしょうか。坂道の多い場所でなければSUVの代わりにセダンでも良いかもしれませんね。

いずれにしても、ある程度自然の豊かな環境に住まおうとすればクルマは2台必要になるでしょう。その場合、今後EV(電気自動車)の普及の可能性も考慮すれば、充電コードを振りまわすスペースを確保すると広めの空間で計画しておくのが良いでしょう。


レポート