西宮・甲陽園目神山町という静謐な環境に呼応するように計画された木造邸宅。多忙な日々を過ごされる施主様が、唯一自分を取り戻せる場所として、この地を選ばれました。
空間の主役は、選び抜かれた無垢の木と自然光です。無機質な日常を離れ、木肌に触れ、移ろいゆく光を感じることで、心身を静かに整えることができます。それは、自然の摂理と人の営みが最も美しく溶け合う、新しい時代の木造建築の在り方です。
豊かな自然が残る目神山の景観に敬意を払い、建築が主張しすぎるのではなく、静かに環境へ同化する外観を目指しました。
道路からの高低差を緩やかに繋ぐ木製デッキのアプローチ。
両側を墨色の杉板壁で囲むことで、外界からの視線を優しく遮りつつ、プライベートな空間へとゲストを誘うドラマチックな動線を計画しました。
外壁には、杉板を丹念に墨色に染め上げた自然素材を採用。
時を重ねるごとに深い味わいを増す墨色の壁面が、周囲の深い緑の木々や、青く澄み渡る空と美しいコントラストを描きます。

日中は周囲の緑と同化していた墨色のボリュームが、夕暮れから夜にかけては室内のあたたかな灯りを際立たせる器へと変化します。
アプローチを経て室内へと足を踏み入れれば、そこには外観のシャープな印象とは対照的な、圧倒的なパノラマと木の香りに満ちた大空間が広がります。
床だけでなく天井まで、贅沢に無垢の木をあしらった、優しく伸びやかなLDKです。
【意匠と技術のポイント】
床・天井を貫く「無垢の木」の温もり:厳選された無垢材を水平方向に美しく通すことで、空間に圧倒的な広がりと心地よい安らぎを与えています。
薪ストーブが刻む豊かな時間:空間のアクセントとして、ミニマルで力強いブラックの薪ストーブを配置。高台の冬をあたたかく満たすだけでなく、火を囲むラグジュアリーな時間を演出します。
ダイナミックな高天井:緩やかな傾斜を持つ高天井と、その上部に設けられたハイサイドライト(高窓)から、絶え間なく移り変わる美しい空の表情を室内に取り込みます。
目神山の絶景を一枚の絵画のように切り取る、圧倒的な大開口窓です。

【意匠と技術のポイント】
眺望に合わせた確実なレイアウト:この土地が持つ最大の価値である「見下ろす夜景と緑」を一番美しい角度で享受できるよう、建物の軸線を緻密にコントロールしています。
美しき「木造の限界への挑戦」:一般的には壁で塞がれがちな大開口部ですが、窓の内側に美しいV字の木製構造補強(筋交い)をデザインとして露出させることで、新築木造としての圧倒的な耐震性を担保しながら、視線が抜ける大空間を創り出しました。
2階のメイン空間へと繋がる階段には、モンドリアンの絵画を思わせる、黒いフレームと格子で構成されたグラフィカルな手すり壁をデザイン。光と影が交差する、ギャラリーのような洗練されたホールです。
木製のフレームとガラスで仕切られた、圧倒的な開放感を持つ洗練された浴室。帰宅した瞬間に解かれ、ストレスのない動線です。
淡いグリーンのシックな壁面に、ガラスカウンターと繊細なステンレス脚の洗面器を組み合わせた、一切の無駄を削ぎ落としたサニタリー。
西宮甲陽園目神山町という地は、日本の環境建築における聖地の一つでもあります。この場所で新築の住宅を手がけるにあたり、私が最も重視したのは「この土地のポテンシャルを120%引き出す」ということでした。
厳しい斜線制限や傾斜地という構造上の難題に対し、木造ならではの「しなやかで強い構造」をあえて意匠として見せることで解決しました(リビングのV字補強など)。
床や天井に用いた豊かな無垢の木、そして墨色に染めた杉板の外壁。これらはすべて、時が経つほどに美しく、街並みに馴染んでいきます。私たちは、単に「家」を設計するのではない。その土地の風景の一部となり、住まう人の人生の質を豊かに高める建築をご提案しています。
医療に携わる方々は、非常に論理的でありながら、同時に極めて鋭い感性をお持ちです。私は建築家として、機能の最適化はもちろんのこと、それ以上に「住まう人の知性をいかに空間に投影するか」を重視しています。
構造計算に基づいた堅牢な耐震性能と、墨色の杉板が織りなす繊細な陰影。この両立こそが、プロフェッショナルが求める「本物の邸宅」の要件だと確信しています。あなたのライフスタイルを深く理解し、唯一無二の空間として形にするお手伝いをいたします。
平賀敬一郎建築研究所では、阪神間の高台や傾斜地、狭小地など、一見「設計が難しい」とされる変形地や景勝地において、その敷地が持つ可能性を最大化する設計を得意としております。
「自然を感じる洗練された木の家を建てたい」「職住一体の上質な医院併用住宅を検討している」など、住まいに対するこだわりやビジョンを、ぜひお聞かせください。
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