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住宅設計もカーボンニュートラル待ったなし

脱炭素社会の実現はできることから

建築業界でも脱炭素の動きが加速している。私たちにすぐに関係してくるのは、大雑把に言うとお客様である施主に設計内容について説明する際、延べ面積300㎡未満の建物の場合、省エネ基準に適合しているかを説明する義務が課される。

これまでそのような規定はなく、建築業界の多くの関係者にとっては、省エネを水光熱費のコスト削減の問題程度に考える風潮があり、努力義務にとどまっていたことを考えると大きな一歩と言える。

 

そして、施主にとっては、もっと複合的な要素が絡む話でもある。今後は、単純に家の設備や窓の仕様に気を配るだけでなくクルマのEV化やスマートハウス化など家の住みかたそのものに関わる大きな変化が訪れるだろう。私たちもこれまでEV化を施すためのささやかな活動として、住宅を設計する際にはEV用のコンセントを設ける等さまざまな配慮をしてきた。

この度のEV購入の補助金が倍増したことも普及のきっかけになるだろうが、加えて移動する蓄電池としての役割も考慮すると、このモビリティのさらなる使い方の可能性が示され、太陽光やクルマの蓄電池化も含めあらたなエコシステムが急速に構築されていくだろう。

 

これらのテーマに関する技術において政府の目標である2050年までになにかしらのブレークスルーが起こるのを待っているだけでは各々の会社は稼ぐ方策を見出せなくなる。「いまある技術、制度」を最大限使って、できることから先行して取り組む必要がある。

私のような建築家が年間に手がける設計の数などたかが知れているが少しでも快適でクリーンな住環境の実現に向けて努力していきたい。