この家のデザインは、名前のとおり、ステルス性能を持つ戦闘機や戦艦から着想を得ている。
外壁はすべて黒く塗られ、低く構えたフォルムは直線のみで構成される。獲物を捕らえるために海面近くまで浮上したサメの背びれのようなトップライトは、不穏な想像を掻き立てる。或いは、鋭い毒針をかまえるサソリのような、攻撃的で危険な生物のようでもある。
このような家は、人が住むための器としてふさわしいであろうか?
「そうではない」
多くはこのような反応であろう。
だが夜になり、小さく穿たれた台形の窓から滲みだす赤い光により、この家にも生命が宿っていることが明るみに出る時、それは隠微で秘めやかな内部の活動を暗示し、独自の言語で語り始める。
内装も、金属であれ、革であれ、すべて黒い。
つまり、色彩は黒と赤のみである。この、いくぶん魔術的な色合いこそ、現代の気分にふさわしいのではないだろうか。
この地球上のどこかに——建物は、まだ生まれてもいない胎児である——建つであろうこの家について、我々はまだ敷地を設定していない。既にどこかで、不条理の残余物のように存在しているのかもしれないが。
ところでこのガレージハウスであるが、我々は別荘として使うにも適すると考えている。構成はシンプルでありながら、豪奢な設備を持ち、大切な人との親密で、特別な週末を過ごさせてくれるだろう。あるいは、メタバース空間などにおいて、人の秘めたる欲望を誘う装置としても存在できるだろうか。
3Dアニメーションで内部を歩き回るかのような体験をしていただけます。
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