· 

木造非住宅についてVol.1

中大規模建築物を木造に!

コストについて

非住宅木造 建築設計

やはり皆さまが一番気になるのはコストでしょう。これまで、「中大規模建築を木造でやるととても高くつく」と誤った認識がまかり通ってきました。それは、鉄筋コンクリート造と同じような考え方で柱や梁のサイズを決め、配置したからです。それは本来の木造建築の構造計画とはまったく相いれない考え方です。私たちは、一般製材と呼ばれる、兵庫県の山でとれる、ごくありふれたサイズと樹種を採用します。杉やヒノキといった木で、10.5㎝角の柱に、同じ10.5㎝幅の梁を使って設計するといったことです。

また、モジュールも大切です。日本の多くの木造建築は910㎜という単位で構成され、その倍数で部屋や梁のスパンが決められています。そのモジュールを守って空間計画を行います。これを1mなどメーターモジュールなどを採用してしまうと、途端に大きなコストアップの原因となります。ですから、最初が大切です。910㎜でうまく計画できないからという理由でこの規格から逸脱した寸法を採用しない。このことが重要です。

また、山で切り落とされ、ストックされた木のほとんどは4mのサイズです。この4mを超えないスパンの柱や梁のサイズで構成していくことも重要です。これも910モジュールと一緒で、そこから逸脱しないよう自らを戒めながら設計します。結果、各部屋の大きさは、例えば3.64m×3.64m(8帖)といった寸法になります。

製材所が一番用意しやすい(いつでもそこにある)一般製材で建物を構成するには、デザインするうえでもセンスが問われます。スタンダードを極め、そこに古を超えた美が宿ります。古典を発見し、それを現代の技術で乗り越えていく。まさに木造の醍醐味です。


中大規模の建物を木造で設計する際の、私たちの考え方をご覧いただけます。こちらをご覧ください。