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新しいプロジェクトがはじまります。
兵庫県神崎郡福崎町という、播磨地方にある町で進行中の古民家リノベーションです。
7月に一度目の現地調査を終え、改修後のプランはできているのですが、今回は構造設計者を交えて詳細を確認することが目的でした。大きな家なのでなかなか大変なのですが、建築・都市計画を学ぶ学生さん5人が助っ人として手伝ってくれました。
福崎町は移住したい町ナンバーワンにも選ばれており、さらには『遠野物語』で知られる民俗学者、柳田國男の生家があることで知られています。最近でしたら、町おこしに大いに貢献しているカッパの河次郎(ガジロウ)をはじめとした妖怪たちが有名でしょうか。そんな、ユニークなアイデアによるまちづくりが功を奏している町で、おそらく築年数は80年程度(はっきりした竣工の記録がないのでおおよそ)の古民家を現代的な間取り、設備に刷新して使えるようリノベーションするということで設計を依頼されました。
断熱の重要性
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福崎町には、この建物のような伝統工法で建てられた古民家が数多く残存しています。太い柱に太い梁と、非常に堅牢な構造体を持ち、実際に調査してみても、躯体そのものはしっかりと当時の状態をとどめており、この先何十年もじゅうぶんに住んでいけると判断できます。
そもそも日本建築は、現代のように、時間とともに緩んでしまうボルトなどの金物を使わずに、大工さんの手で加工された仕口で緊結し、さらには木の重みで年月とともに結合部がより強固に締まっていくという、とてもよく考えられた賢い造りをしています。サスティナブルなどという言葉を持ち出すまでもなく、長い歳月を見据えた家づくりが昔から行われていたのです。
ただ、ほとんどの古い建物がそうであるように、致命的に断熱性能が低いです。大げさかもしれませんが、10月の下旬にもなれば底冷えするほどです。
『冷えは万病のもと』と言われるように、いくらすぐれた建築様式であっても、これでは施主様が快適で健康に暮らしていくことはむずかしいと言わざるを得ません。
そこで、断熱性能を高めつつ、光と風が気持ちよく生活空間に入ってくる日本建築の良さを両立させるべく設計を進めていくことになります。
ちなみに私は、『断熱は健康への投資』であると考えています。つまり、断熱工事により最初はお金がかかりますが、それによりヒートショックなどを起こすリスクを低減させることができますし、長年我慢し続けたあげくに病気になってしまい、そこではじめて断熱や健康に思いを巡らせても遅いということです。「備えあれば憂いなし」と言われるように家づくりにおいても目に見えない部分の仕込み、準備が大切になってきます。リフォームやリノベーションの際には壁や床をめくってしまうことが多いので、その際に断熱工事も済ませてしまえば時間とお金を有効に使うことができるのでお勧めです。
伝統的な田の字型も工夫次第で住みやすく
この家も、現状は日本の地方に多く見られる、いわゆる田の字型のプランを中心に持つ間取りです。畳敷きの和室で構成されており、このような家を親世代から受け継ぐ比較的若い世帯の生活には不向きと言わざるを得ません。まだプランを見せることができないのですが、そういった問題を解消しつつ、和の情緒とモダンな感性を両立させたリノベーションとすべく設計を進めていきますので完成を楽しみにしていてください。
調査に協力して下さったみなさん、お疲れさまでした。
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