マンションリノベーションの需要が高まっているようですね。建築業界全体で見てみると、以前は新築案件を中心にまわっていましたが、リノベーションの比率が半分近くまできたのではないかと感じています。
しかし、このリノベーション、じつはけっこうトラブルが多い分野でもあります。特にマンションでは。
多くの場合、お客様はリフォーム会社や懇意にしている工務店に工事を依頼するようですが、このやり方で問題がないのは、ちいさなリフォーム工事までです。
リノベーションというのは、間取りの変更を含む、おおがかりな工事を指しますので、建物の構造体、給排水・換気のための配管、さらには建築基準法や消防法に関するしっかりとした知識が必要となります。
それらなくしても、うわべだけそれらしく見せることは可能かもしれませんが、これは、あとから問題が起きます。
私は、ふだんからマンション管理組合様のための顧問業にも従事しているので、様々な相談ごとに触れるのですが、技術的なことから法的なことまで、本当にトラブルが多いです。工事中に発覚するものもあれば、工事後何年も経ってから問題になるケースもあります。
特に築年数が古い場合、最近の建物の仕様とはまったく別の考え方で施工されている部分もあり、そういった要素に対する用心深さがなければトラブルは必然とも言えます。
デザインと機能は一体
また、デザインと機能のバランスも大切です。
「なんとなくオシャレだから」というような理由で、設計・工事の仕様を決めるのはよくありません。デザインと機能は、互いに必然の関係にあります。どちらかが犠牲になっていると感じた場合は、いったん立ち止まって、もう少し深いところまで検討しましょう。
日本の都市部には中古マンションがたくさんあり、リノベーションして住み継ぐ価値のあるものも多いです。それらを生かすも殺すも、最終的には施主となる皆さまの判断にかかっています。
主人公は、あなたです。もっとこだわって、家づくりをたのしみましょう。