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サイバーハウス

猛威を振るう新型コロナウィルスにより多くの方々の生活に変化をもたらした。テレワークへの急速な対応や、外出自粛などでとても窮屈な生活を強いられている方も多いと思う。

 

昔から日本の住宅は“ウナギの寝床”と言われ、これはまず敷地の間口の狭さと奥行きの長さからくる言われようだが、そんな条件のなかでも先人の知恵を受け継ぎ工夫して、快適で居心地の良い家を作ってきたことに対する肯定的な評価でもある。

 

しかし、そういった快適性や住みやすさといった日常生活に関する要素に配慮するだけでは設計が成り立たない時代を既に迎えている。

大地震、豪雨による浸水など天災が頻繁に起こる災害大国である日本で、さらに新型のウィルスや核の脅威など地政学的なリスクとも戦える家を用意する必要がある。

 

アフターコロナの時代に家を建てるには、『生き残り』をテーマに構想を練らなければならない。これは、我々設計する側のみならず、実際にその家に住む施主も同様だ。そこで、生き残りをテーマにした住まいについて考えたい。

 

  • まず、平時においてはごく当たり前の生活が送れることが重要である。つまり、明るく快適な空間で家族全員が健康的に暮らせることである。ここはこれまでの住宅設計となんら変わらない。
  • コロナウィルスなど新型感染症のパンデミックが起きた場合、自分と大切な家族や友人を避難させ、安全を確保できる空間を用意する。そう、“シェルター”である。“セーフルーム”や“パニックルーム”とも言えるが、この場合はシェルターと呼ぶ方がなじむと思う。
  • 核による脅威にさらされた場合でも、その衝撃を緩和するため十分な強度をもち、地下であることが望ましい。地上に設置出来るものでも良いが、一般的に狭い日本の敷地を有効利用するには必然的に地下で検討せざるを得ないと思う。もちろん、高性能フィルターにより汚染された空気をシャッタアウトし、シェルター内部の人間を守る。
  • 避難生活を1ヵ月ほどストレスなく送れるように十分な水・食料、衛生用品等を備蓄できること。災害用備蓄倉庫の役割を持たせることである。通信設備も忘れてはならない。
  • いつ終わるか分からない避難生活によるストレスを少しでも緩和するための娯楽も必要だ。テーブルゲームなどが数種類あれば良いだろう。読書も必要だ。

上記の内容は、弊社のホームページで安全性・セキュリティというテーマで既に書かれていることであるが、再度記しておきたい。

もちろん、このような設備を自宅にかまえるとなると多額の費用が必要で、結局富める者が安全を買えるということになってしまい、なにより本来そういった状況では、自分だけが助かるのではなく周囲の人も含めた連帯によって苦難を脱することが大切であることは重々承知だ。しかし“今後”家を建てるすべての人が、自分や大切なひとの命を守るための備えをしておくことを考えざるを得ない時代、状況であるということを言っておきたい。

 

 

私たちは来る5月10日の日曜日にEVメーカーであるテスラ心斎橋店で『住まいの相談会』を開催する。テスラと言えばやはりサイバートラックのイメージが強烈で、この無機質なボディを見ていると、このクルマが格納される家もおそらく単に“快適で便利”というものではないのだろうなと思ったのでこのようなことを書いてみた。今後の私自身の住宅設計のデザイン・プランニングにも大いに影響を及ぼすかもしれない。

 

ついでに記しておくと、私はアメリカのゾンビドラマ『ウォーキングデッド』の大ファンであり、ゾンビが徘徊する終末世界においても住人を守ってくれるような仕様があっても面白いなと思う。

 

※テスラでの相談会は、コロナウィルスの影響で日程変更の可能性があります。



アフターコロナの家づくりについてはこちらにも記しております。

私たちのEV普及への取り組み『終末水位』についてはこちらをご覧ください

 

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